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こうじょうしんぶん
工場新聞
徳永 直
「新潮」1932(昭和7)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,771 字 · 16 页
五
「山本ふみちゃんを馘首にさしたのもおまえじゃないか」
「須田課長のお妾め!」
「この蛍ッ」
ツネられたり、殴られたりしながら、服部フクは廊下にころんでしまった。ビリケン頭の工長が駈けつけたとき、服部フクは、コンクリの上で泣き伏していた。
五
その翌々晩、タツ達は、組合分会の会合を、局の近くにあるトシのうちで開いた。
「服部フクは出て来なくなったね」
今晩の会合から、初めて出て来たおせいが云った。
みんな緊張していた。あの事件に関係した十五六人をみんな馘首するだろうか?
「大丈夫だよ、わかっても、せいぜい昇給停止くらいだ」
トシが云った。
「そうなりゃ、そうなったで、昇給停止反対でやるさ」
松本が来た。書記だけに、課長の方の事情がよくわかるので、みんな待っていた。
「大丈夫だ。課長は服部フクとの関係が、いくら何でも、公然となると自分が危いから、女の方に泣寝入りさせたらしい」
「だから、出て来ないのかね?」
トリが云った。
「いや、服部フクだって、あんなにされちゃ出て来られないよ。いくら組長が『犬』だって、ある程度、人望がなくちゃツトまらんさ」
みんな「バンザイ」と叫び出したい気持だった。