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こうじょうしんぶん

工場新聞

徳永 直

「新潮」1932(昭和7)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,771 字 · 16 页

青空文庫

トリとタツが、二人でいったときは、六七人の人が室ン中にいた。男は松本の他に二人で、アトは女ばかりだ。

「そんなにかしこまっていないで、こっちに寄っとくれよ、みんな局の人達だ」

松本が一人でとりもった。他の二人の男は、原料運搬で、女三人は、葉撰から二人、医務局の女事務員が一人だった。

「これは、やっと昨夜出来た、第二号だ」

謄写版刷りの、うすっぺらな雑誌を、一冊ずつくばってくれた。タツは『赤煉瓦』という名前が、局の工場がみな煉瓦建物だから、そこからとったのだと気がついた。

「赤煉瓦」二号は、一号よりもいろんなことが書いてあった。――短い小説だとか、タツ達にもむずかしいような論文や、それから『煙草と軍事費』――なんていうのもあった。

「さァ、みなさんで忌憚なく、批評して下さい、そして悪いとこはドンドンなくして、みんな妾たち局のものにピッタリするようにつくりましょう」

自己紹介のとき、医務局の事務員だといった女がタツたちの方へ云った。二十四五くらいの、出戻り女、といった、神経質な感じのする女だった。

タツもトリも面喰っていた。

「どうだい、遠慮なく喋べろうじゃないか、活動写真の批評は、どうだね?」