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へいまとうぐいす
平馬と鶯
林 不忘
「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页
「いつから禁止になったのだ?」
「いえ、つい今しがたでございます。いま手前が来て通行止の丸太を打ちましたところで」
平馬はそれを聞き流したまま平気で丸太を乗り越えたかと思うと、そのまま橋の上の霧に消えて行った。番人も仕方がないから、ぶつぶつ言いながら、後に残った三人の友達と話していた。
月見橋。
名は美しいが、今夜は月どころか、ひどい霧である。まるで雨が降っているように、欄干から橋板がびっしょり濡れて、ともすれば辷りそうになる足を踏みこたえながら、平馬は大刀の柄に手をかけて、きっと先方に眼を凝らして進んだ。
と!
橋の中央にさしかかった時だった。ゆくてに赤っぽい提灯の光が見え出すが早いか、ばたばたと大勢の足音がとんで来て、突如、霧の中から躍り出た二十人余の人数が、橋上に平馬を取り囲んだ。
「汝は結城藩の平馬であろう?」
先に立った一人が言った――千草の兄鏡之介である。
「平馬、俺がさっき貴様らの会合に忍んで、貴様の来るのを知って、ここに待ち伏せしていたのだ。奉納仕合の前に真剣勝負だ。来いっ!」
叫ぶと見るや、鏡之介、真庭念流の覚えの腕に、氷刀一時に閃めいて、さっと平馬の退路に立つ。