轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

へいまとうぐいす

平馬と鶯

林 不忘

「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页

青空文庫

国境に川がある。横笛川という。

流れは、深いわりにさほど広くはないが、両岸の川原の幅が広いので、その全体に架かっている橋はかなりに長いものだった。太い木を高く架けて、水中や川原に大きな柱が立っているのが、遠くからでも見られた。試みに橋の上から唾をすると、下へ落ちるまでに、しぶきのように粉々になってしまう。それほど高い橋だった。月見橋という。この橋を境に、こっち側は平馬の藩、向う側は他藩ということになっていたが、平馬はいまその橋を渡っている。

しかし、考えながら歩いていると自分がどこにいるのかわからないことがある。この時の平馬がちょうどそうだった。彼はぼんやりと、気がつかずに月見橋を渡ったが、そうしていつの間にか他の領内へ踏み込んでいたのである。

それからまた少し野原があった。野原のつぎは畑だった。畑を越すと、そこここに生垣が見えて、どうやら屋敷町へ入ったらしかったが、平馬はいっさい夢中で歩いていた。

陽が高い。

くっきりと黒い影が足もとにかたまっている。

その自分の影に話しかけるように、うつむきに考えこんでゆく平馬。

ふと、顔を上げた。耳のそばで羽ばたきがしたからである。