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へいまとうぐいす
平馬と鶯
林 不忘
「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页
おや! と思った瞬間に何やら黄色いものが平馬の眼前に躍って、すぐにそれが、右手の甲にとまったので、平馬はびっくりしてよく見た。
鶯が一羽。
丸々と肥った美事なうぐいすが、どこからともなく飛んで来て平馬の右手にとまっているのだ。何ごとか平馬に話しかけでもするように、小さな口を開けたかと思うと、ホウホケキョと一声。
驚きながらも平馬はにっこりした。どこの鶯だろう? よほど人に馴れているとみえて、こうして物怖じもせずに平馬の手にとまっているのだ。大事に飼われていたのが、何かのはずみで籠から逃げて来たのに相違ない――こう思いながら平馬が左手でそっと押えると、鶯は逃げようともしないで、平馬の手のなかでまた啼いた。ホウホケキョ。
するとこの時、そばの一軒の家の枝折戸が開いて、ひとりの美しい少女が小走りに出て来た。そして、平馬が鶯をつかんでいるのを見ると、少女は嬉しそうにかけ寄って言った。
「まあ、どうもありがとうございました。あなた様が鶯をつかまえて下さいましたのでございますか」
平馬が困ってもじもじしていると、少女は口早やに説明した。鶯は少女が大事に飼っていたものだったが、籠の掃除をしている間に飛び立ったので、すぐ驚いて追っかけて来たということだった。