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ゆうれいやしきのさつじん

幽霊屋敷の殺人

山本 周五郎

「少年少女譚海」1930(昭和5)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,339 字 · 19 页

青空文庫

白い布で包んだ荷物

「では、僕は先に失敬します。これから解かなければならぬ暗号がありますから」

そして食堂を出て、自分の勉強室へ引籠った。――本当に龍介はもう事件を解決しているのであろうか※(感嘆符疑問符、1-8-78)

白い布で包んだ荷物

突如! 明る朝から龍介の大活躍がはじまった。

例によって黙って、ぽつりとも物をいわずに、自動車で警視庁へいったかと思うと、疾風のように帝大医科へ乗りつけた。そして、一度外へ出ると妙なことには蝋細工屋をたずねて、腕利きの細工師を一緒につれて医科大学へ戻った。龍介と蝋細工師は医科大学の教室で半日暮らして、午後二時ごろ、白い布に包んだ五尺ほどの荷物を持って大学を出た。

大学を出た龍介は、荷物を持って自動車であの拳骨壮太の家を訪ねた。

「やあ坊っちゃん、よくいらっしゃいました」

壮太は、龍介がわざわざ訪ねてくれたので大悦びで出迎えた。龍介は怒っていった。

「おいおい又坊っちゃんていったな、じゃもう友達じゃないぞ、失敬な!」

「やあ、御免なさい、御免なさい、つい忘れちゃったんです、もう云いませんから勘弁してください」

壮太は頭をかきかきあやまった。