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ゆうれいやしきのさつじん
幽霊屋敷の殺人
山本 周五郎
「少年少女譚海」1930(昭和5)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,339 字 · 19 页
恐々後ろを振り向いた。見よ、理学士のうしろに白い服をきて、額に小さな傷のある死人が立って、恨めし気に理学士を睨みつけているではないか、
「きゃっ※(感嘆符二つ、1-8-75)」叫んで理学士、二歩うしろへ退がったが「赦して下さい兄さん、あなたを殺したのは悪かった。赦して下さい※(感嘆符二つ、1-8-75)」と必死に喚いた。
とたんに龍介の声で、
「もう結構です皆様、どうぞ入ってきて下さい」そういうのが聴えた。
ぱっと点く電灯、ばらばらと走りこんだ警官十名許、驚き呆れている理学士に手錠をはめてしまった。――松川博士の幽霊は? 幽霊はぽんと抛り出された。そしてその中からあの拳骨壮太が現われた。
「畜生! 騙ましやがったな」理学士が咆えた。
「騙ます者は騙まされるさ」龍介がいった「さあどうぞ松川博士殺害犯人を捕縛して下さい」
壮太は傍でふしぎそうに訊いた。
「春田さん、だけどあの白い幽霊の正体は何でしょうね」
「うんあれか、あれはね、そら庭に大きな南洋産の鸚哥がいたろう、あれの足に白い絹を縛りつけたのさ、分かってみれば子供騙しさ」「うへー」壮太は恐縮して頭を掻くばかりだった。