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しんれいさつじんじけん
心霊殺人事件
「別冊小説新潮 第八巻第一四号(創作二十二人集)」1954(昭和29)年10月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,557 字 · 52 页
糸子は反対どころか、むしろ大いに霊のお告げがあることを望んでいて、
「おもしろいじゃないの。お父さんの本当のコンタンは見当がつかないけど、あの冷血ムザンのケチンボーが何百万をもお金使って本当にビルマへ孫を探しに行くとしたら、おもしろいわ。そのときのケチンボーの顔を見てやりたいな。大いにケシかけて否応なくビルマへ行かせてやりたいと思うわ」
こういう考えであった。父の金など当てにしなくとも高給のとれるファッションモデルのことだし、まだ若いから屈託がないのだ。
これに反して深刻なのは一寸法師の辰男だ。彼が兄妹の最年長者でもあり唯一の男でもあるから、当然家をつぐのは自分だときめこんでいる。だから宿屋の番頭をしながらも経済界のことには勉強も注意も怠らず、株屋だの銀行員の客とみれば根掘り葉掘り訊きだして経済界の実相というものを身につけようと努力し、父亡きあと直ちに父の会社の社長におさまっても一ぱし通用できるように常住坐臥怠るところがないのであった。今は宿屋の客ひきだが未来は高利貸し会社の社長と心に堅く思いこんでいるのである。こういう辰男であるから、かりにも孫をひきとるとあれば衝撃は深刻で、