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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

国枝史郎『怪しの館 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:怪しの館、一枚絵の女、犬神娘、開運の鼓、猿ヶ京片耳伝説、日置流系図、北斎と幽霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,915 字 · 165 页

青空文庫

眉毛はむしろ上がり気持ちで、描いたそれのように鮮やかであった。鼻は高く肉薄く、神経質的の点があり、それがかえって彼女の顔を、気高いものに見せていた。唇は薄く、やや大きく、その左右がキュッと緊まり、意志の強さを示していた。だが何より特色的なのは、情熱そのもののような眼であった。どっちかといえば細くはあったが、そうして何んとなく三白眼式で、上眼を使う癖はあったが、その清らかさは類稀で、近づきがたくさえ思われた。女としては高い身長で、発育盛りの娘としては、少し痩せすぎていることが、一方欠点とは思われたが、一方反対にそのために、姿が非常に美しく見えた。全体の様子が濃艶というより、清楚という方に近かったが、また内心に燃え上がっている、情熱の火を押し殺し、無理に冷静に構えているような、そんな様子も感ぜられた。

「あの娘と夫婦になる。どう考えたって有難いことだ」

旗二郎はこんなことを思いながら、グイグイ手酌で飲んで行った。

依然として酔いが廻らない。いよいよ眼が冴え心が冴え、とても眠気など射そうともしない。夜がだんだん更けて行く。更けるに従って屋敷内が、いよいよ静けさを呈して来る。