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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
聞くもうるわしい兄妹の仲のよさでありました。
そういうかんしんな兄妹を、こうもくるしめるのは、一体誰のせいでしょうか。いうまでもなく、それは帝国軍艦淡路を怪しい力によって壊し、それから後、いろいろとおそろしいことや憎いことをやっている、怪塔王のせいにちがいありません。
怪塔王と言うのは、一体いかなる素性の人間なのでしようか。いままでに、このことは殆どわかっていません。
一彦とミチ子は、それからのちわずか五日間の短い日数のことでしたが、久万ぶりに一しょに食事をしたり、歌をうたったり、お話をしたり、また夜は同じ室に枕をならべてやすんだりして、たいへん楽しいことでありました。そのためでもあり、またミチ子の手あつい看護のこともありまして、六日目になると一彦は殆ど普通に歩けるようになりました。ミチ子は一彦が病院の庭を歩く後姿をみまもりながら、うれし涙をこぼしました。
一彦は、もうすっかり元気です。
「さあ、もう大丈夫だ。きょうは塩田大尉が来てくださると言ってたが、もう見えそうなものだね」
「塩田大尉が見えたら、御用があるの」
と、ミチ子は心配そうにたずねました。