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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

そしてお迎えの自動車にのって、何時間もかかって病院に急ぎました。

「ああ兄ちゃん」

とミチ子が病室へかけこむなり、一彦の枕元にかけつければ、一彦は思いのほか元気な顔をもたげて、

「おおミチ子、よく来てくれたね。兄さんの怪我は大したことないんだよ、心配しなくていいんだよ」

「あら、そんなに軽いの。うれしいわ。でも痛むでしょう」

「痛かないよ。すこしちくちくするくらいだよ。あと四五日すれば歩けると、院長さんがいったよ。僕は心配なしだけれど、心配なのは、帆村おじさんだ」

「ああ帆村おじさん! おじさんは、どうして」

「それがねえ、困っちゃったんだよ」と一彦はいいにくそうに、

「僕だけ逃げるのはいやだとおじさんにいったんだよ。だから一緒に逃げようと、いくどもすすめたんだけれど、おじさんは中々聞かないんだ。おじさんはまだこの塔の中でする仕事があるんだといってね、僕いやだったけれど、おじさんのいうとおり一人で報告にかえってきたんだ」

2

「兄ちゃん、帆村おじさんを残して来たことを、そんなに気にしないでもいいわ。誰も、兄ちゃんがいけない子だなんて思う人はなくってよ」

と、ミチ子は兄の一彦をなぐさめるのに一生懸命です。