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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

じゃあミチ子はあぶないから、家で待っておいで。おじさんは一彦君と一しょにいってみるから」

ミチ子は、すこし不満でしたが、帆村探偵がとめるので、仕方なく家へかえってお留守をすることになりました。

怪塔は、そこから一キロほどの道のりでありました。塔のうしろはこの辺に珍しい森になっていて、また前は海との間に寝たような形の丘が横たわっていました。

一彦と帆村とは、たいへん急ぎ足でいきましたけれど、そこへつくまでには、三十分もかかりました。傍に来てみると、塔はますます高く、見るからに頭の上からおしつけられるような感じのする塔でありました。

「おじさん、ここに入口があるよ」

「うむそうか。開くかどうかやってみよう」

といいながら、帆村は注意ぶかくゴムの手袋をはめ、ドアの把手を握っておしてみましたが、びくとも動きません。

4

怪塔王は、塔の一番上の部屋の中に、どっしりと据えた肘掛椅子にうずくまって、向こうを向いています。

「あっはっはっ。なにをしたって、お前たちに入口のドアがあいてたまるものかい。あっはっあっはっ」

怪塔王は、壁を眺めてはからからと大声で笑っています。