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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

怪塔王は長い綱をとり出すと、すばやく帆村の体をぐるぐると巻いてしまいました。

危い怪塔

1

怪塔王のため、ついに帆村探偵は、体を荒縄でもってぐるぐるまきにされてしまったのです。怪塔王は、そこではじめてほっと息をつきました。

「う、ふふふふ。さあ、これでいいぞ。これですべて、元のとおりになった。やっぱりわしは、大科学王だ。天下に誰ひとりおそれる者はないのだ」

そういっているときに、ぴしんと大きなもの音がしました。配電盤の上についている一つのメートルの針が、ぐるぐるとまわりはじめました。それにつづいて、警鈴が、けたたましく鳴りだしました。

「ありゃありゃ」

「うう、ありゃありゃ」

黒い円筒のふたが、内側からぽんとはねて、黒人の顔が三つ、ぬっと出ました。三人とも、生きている顔色とてもなく、ぶるぶるふるえて、室内をみまわしています。

怪塔王も腰をぬかさんばかりにびっくりして、

「おや、とうとう始ったかな。――」

と、配電盤の前にかけつけるなり、大きなハンドルに手をかけ、力をいれてううんとハンドルを廻しました。それは、強い酸性の薬をはきだす口がひらかれたのです。