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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
ずいぶん家さがしをしてやりましたが、どこをひっくりかえしても博士の熱心な研究材料が山とつまれているばかりで、別に怪しい手紙もありません。
また、なんだかわけのわからぬ機械などが、たくさん並んでいましたが、これもまた別に怪塔ロケットに備っているほどの大仕掛のものではありませんでした。
これで見ると、大利根博士は、やっぱり尊敬すべき熱心な科学者としかうけとれませんでした。
塩田大尉は、ついに室のまん中にある丸い腰掛に腰をおろし、戦帽をぬいで丸刈頭に風を入れました。
「ざんねんながら、なんにも怪しいものが見つからん。一彦君、君もそこへ掛けたまえ。そうだ、いいものがある。これは軍艦の中で売っている別製のキャラメルだ。これを食べると、疲れもなおるし、それからまた、すばらしい考がうかぶはずなんだ。さあたくさんお取り」
そう言って大尉は、青い函にはいった、キャラメルを、一彦にすすめました。
「はあ、ありがとう。ずいぶん重宝なキャラメルがあるんですね」
一彦も、大尉と並んで、同じ形の腰掛に腰をおろし、そのみどりいろのキャラメルを頬ばってみましたが、なるほどたいへんおいしく、そして口の中がすうっとしました。