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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

「ああ、とまった」

「うむ、とまったね」

二人は、目を見あわせ、ほっと溜息をつきました。なんという思いがけないからくりが仕掛けてあったことでしょう。

「こんなエレベーターみたいな仕掛が、はやっているのでしょうかねえ」

少年は、ふしぎでたまりません。

「さあ、どうだか、それは――」

とまごついた大尉は、そのときになに思ったものか息をのみ、

「おう、あんなものがうごきだした。一彦君、君のうしろの、機械戸棚がうごいているよ」

「えっ」

一彦がふりかえってみると、おどろきました。顕微鏡や気圧計などいろいろの理化学機械のはいった戸棚が、しずかに横にすべりつつ、壁の中にはいっていくのでした。

二人は息をころして、ひとりでにうごいていく戸棚を見つめていました。

戸棚のうごいていった後には、意外にも、一つの扉があらわれました。地下室の怪!

4

大利根博士邸の実験室が、塩田大尉と一彦少年とをのせて、まるでエレベーターがさがるように、すうっと下におちていったのさえふしぎでありますのに、そのおちきったところで、実験機械をいれてある戸棚が、するすると横にすべって壁の中にかくれたのは、またふしぎです。