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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

あきらめるがよい」

2

「なんといおうと、この塔からりっぱに出ていってみせるぞ」

帆村探偵は、鉄の檻のなかから、怪塔王をじっと睨みつけました。

「ほう、それは勇ましいことだ。じゃあ、まあよく考えてみるがいいさ。これからお前たちを、考えるのにはもってこいという場所へおくってやろう」

考えるのにはもってこいの場所?

それは一体どんなところなのでしょうか。

怪塔王は、にやりと笑うと、また寝台のところへ歩いていって、後向きになりました。

「あっ、わかった。あそこに秘密のボタンがあるのだ」

と一彦が叫びました。

「秘密のボタン――そうかもしれない」

と、帆村は檻につかまって、怪塔王の背中をじろじろみつめています。

秘密のボタンをおしたので、この檻が天井から下りて来たのでしょう。発射されたピストルの弾丸が空中でとまるのも、その秘密ボタンをおしたためでしょうか。さて今度、怪塔王はどんなボタンをおすつもりなのでしょうか。

「あっはっはっ」

と、寝台にとりついている怪塔王が、二人の方をむいて笑いました。

「なにを――」

と、帆村と一彦とが、睨みかえしました。

そのとき、二人の立っている床がごくんと揺れたかと思うと、ああら不思議、そのまますうっと下にさがりはじめました。