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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

弾丸はどこへいったのでしょうか。

このとき誰か塔のちかくによって、よく見たといたしますと、弾丸は、塔の壁から一二メートル外側のなんにもない宙に、ごまをふったように、じつと停っているのが見えたことでしょう。

塩田大尉は、機上から双眼鏡の焦点をしきりにあわせていましたが、このように、弾丸の壁ができているのをみてとると、にっこりとわらいました。

「よし、これでよし」

「塩田大尉、なにがよいというのですか」

と、小浜兵曹長がたずねました。

「うむ、つまり怪塔のまわりを爆弾と弾丸とですっかり囲んでしまったのだ。ねえ、そうだろう。上からおとした爆弾は、塔の屋上から何メートルか上に傘をさしたようにならんでいて、それから下におちてはこないし、また今うった弾丸は、怪塔のまわりに弾丸の壁をつくってしまった。だから怪塔は爆弾と弾丸とに囲まれてしまったのだ。こうなれば、怪塔の上から檻をかぶせたようなものさ。怪塔がとびだそうと思っても、爆弾や弾丸が邪魔になって、とびだせない。どうだ、うまくいったろう」

塩田大尉は、たいへんうれしそうに見えました。

しかし皆さん、塩田大尉の考えはまちがっていないでしょうか。