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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

塔の中に怪塔王が二人出来てしまいました。黒人はおおよわりです。なぜって、顔の怪塔王が横須賀へ飛べというのに、声の怪塔王は横須賀へ飛んではならないと命令するのです。一体どっちにしたがったものでしょうか。

もし帆村探偵がそこに居合わせたなら、どっちが本当の怪塔王かを言いあてたことでしょう。その帆村探偵はこの塔の中にいるはずですが、まだ姿をみせません。一彦少年も、どこになにをしていることやら。

「なにをぐずぐずしている。塔をはやく横須賀へ――」

「いや、横須賀へ飛ばせることはならんぞ」

顔と声との両怪塔王のけんかです。

このとき怪塔の外では、塩田大尉指揮の編隊機がいく度となく翼をひるがえして、猛襲してまいります。そして機銃は怪塔の窓をめがけて、どどどど、たんたんたんとはげしく銃火をあびせていきます。このものすごい勢は、黒人たちをおそれおののかせるに十分でした。

三人の黒人は、ふるえながら、お互に目くばせしていましたが、やがてなにかうちあわせができたものと見え、一せいに円筒の中に姿をかくし、蓋をとじてしまいました。

すると、まもなくごうごうと機関がまわりはじめました。