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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

この少年は、生きたまま防腐剤を施したのじゃから、それを解消すると、この白蝋のような顔が、忽ち紅潮してくれるだろう」

「はやく、注射して下さい」

「よろしい」

怪老人は陳君の屍骸の腕に幾本か注射を試みた。

「これでよろしい。見ていたまえ。屍骸が動き出すであろう」僕も、老博士も、非常な興味を覚えて陳君の屍骸に注目した。

五分、十分、十五分……と経つうちに、やがて、白蝋のような屍骸の顔に、血の色がさして来た。

「おお」老博士は、低く呻いた。こんどは、眉毛が微かに動いた。手足が、ビクリビクリと微動した。

「おお、陳君!」僕は、おもわず叫んで、屍骸に駈け寄ると、怪老人は、手をあげて制し、

「静かに、静かに」用意の葡萄酒を二、三滴、屍骸の口へ垂らしてやった。すると、陳君は、眼をひらいて、四辺をきょときょと見廻した。

「おお、気がついたか。わしだよ」怪老人は、陳君の顔を覗いた。

「ああ、先生!」

「おまえの友人が、見舞に来てくれているぞ」

「えッ!」陳君は、顔をあげて、僕を見た。

「おお、陳君! 僕だ、僕だ」

「おお、山路君!」陳君は、余りの悦しさに、涙をいっぱい両眼に湛えて、

「よく、無事でいてくれた」