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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
生理学などというものは、むしろ学説の集合体といってもよいもので、そういう学説を減すことは、生理学を修得するものの為にもなり、ひいては人生を簡単化することが出来るだろうと私は考えました。
御承知かも知れませんが、心臓運動の起原については二つの説があります。一つは筋肉説と唱えて、心臓は心臓を形づくる筋肉の興奮によって動くという説、今一つは、その筋肉の内へはいって来て居る神経の興奮によって動くという説があります。心臓は、之を体外に切り出しても、適当な方法を講ずれば、平気で動いて居りますから、心臓を動かす力が心臓自身から発するものであるということに疑いはありませんが、さて、その力が筋肉から発するか、その中にある神経から発するかに就てはいまだに決定しては居りません。そうして、その何れであるかを発見するために随分沢山な学者が随分色々な動物の心臓に就て研究し、中にはその尊い一生涯をその研究に捧げた人さえありますが、それでも満足の解決がついて居らぬのです。ある学者の如きはカブトガニの如き滅多に居ないような珍らしい動物の心臓に就て研究し、神経説を完全に証拠立てたなどと大に得意がって居ましたが、兎角、偏狭な性質に陥り易い学者たちは、容易にそれを認めるに至りません。