轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

「新日本」1917(大正6)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,611 字 · 56 页

青空文庫

池田も、もしそうなら、うまく逃がしてやりたいと思っていた。作業が始まってから、彼はくまなく坑内を歩いて、坑夫の容子を見た。然し彼等は何時もと変ることもなく、カンテラの灯かげでよく働いていた。

その中に池田は、下手人のことよりも、死骸の方が余計に気になり出した。この焦げつくような日に照りつけられたら、死骸は一たまりもなく腐って了うだろうと思った。

河原でよく見る蛇の死骸に、蠅のたかった姿や臭いを思い浮べた。世の中には、役にも立たない人の死骸を保存するために、酒精だの朱につける事もあるのに、死骸の腐るまで検視が来ないのは、随分馬鹿げたことだと思った。

翌朝も現場に出ると、彼はすぐ昨日の老人に、

「検視はまだ来ないか」と訊いた。老人は、

「どうして、まだ二三日はかかりやすべえ」と言った。

彼はもう死骸は臭くなったろうと思った。そして腐った傷口の色などを想っては気持ちを悪くしていた。毎朝彼は老人に同じようなことを訊ねた。

「昨夜やっと検視が来ましただ。えら臭くって困ったって、村の衆がこぼしていやした」と老人が言ったのは、四日目の朝であった。

池田は、頭の中にこびりついていた、黒いものが除れたような、快さを感じたのであった。