轻松读懂日语经典作品
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あくりょう
悪霊
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1933(昭和8)年11月~1934(昭和9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,980 字 · 67 页
その紙切れは長さも幅も厚味も丁度官製ハガキ程の正確な長方形で、紙質は上質紙と呼ばれているものであって、その中央に、二本の角の生えたいびつな方形の枠の上に斜に一本の棒を横たえた図形が、濃い墨汁で肉太に描いてあるのだ。僕はその形をよく覚え込んでいるので、参考までに次に小さく模写して置く。君はこの異様な符号を見て何を聯想するであろうか。僕は暗号でも解く気になって、色々に考えて見たが、何だか、アアあれだったのかと直ぐ分り相でいて、その秘密が今にも意識の表面に浮かび上り相でいて、だがどうしても分らない。綿貫氏に聞くと、警察の方でもまだこの謎が解けないでいるということだ。若し君がこんな図形をどこかで見たことがあるか、或は図形の意味を解くことが出来たら是非知らせてほしいと思う。
二本の角の生えたいびつな方形の枠の上に斜に一本の棒を横たえた図形
殺人の方法が余り異様なので、これを単なる盗賊の仕業だとは誰も考えなかった様だが、順序として、一応盗難品の有無が調べられた。その結果は、君も想像する通り、邸内には何一品紛失したものもないことが確められたに過ぎない。それは被害者の左の薬指にはめられた高価な宝石入りの白金の指環がそのまま残っていた事によっても明かであった。