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あくりょう

悪霊

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1933(昭和8)年11月~1934(昭和9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,980 字 · 67 页

青空文庫

如何なる科学者も、唯物論者も、一度この不可思議な声を聞き、光を見たならば、彼等の科学を裏切って、冥界の信者とならないではいられぬのだ。

アルフレッド・ラッセル・オレース、ウィリアム・ジェームス、ウィリアム・クルックスの様な純正科学者をさえ冥界の信者たらしめた力が何であったかを考えて見なければならない。奇術師的な降霊トリックの如きものと混同してはいけない。あれは霊界交通の外道に過ぎないのだ。そんな子供だましのトリックが、トリックの専門家である探偵小説家を――コナン・ドイルを欺き得たとは考えられないではないか。

先生の書斎は、四方の書棚も窓も壁も黒布で覆い隠して、一つの大きな暗箱の様にしつらえられていた。一方の壁に近く小円卓と一脚の長椅子が置いてあって、それを中心にして、七脚の椅子がグルッと円陣を張っている。机などはすっかり取りかたづけられ、室内にはその外に何もない。小円卓の上に小さい卓上電燈がついていて、それがボンヤリと異様な舞台を照らしている。

一同は全く無言で、夫々の位置に着席した。正面のソファには霊媒の龍ちゃんが長々と横たわり、その右隣の椅子には黒川博士、左隣には妖怪学者の熊浦氏が腰かけ、外の一同も思い思いの椅子を選んで腰をおろした。