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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

これ皆国家的観念の乏しかったためである。従って小国家に執着する考えが国家全体の利害と衝突することは決して珍しくはない。この点から見れば、封建時代における「お家のため」は、必ずしも国家のためにはならない。しかしながら今日は、皇室は国家の唯一の宗であるから、皇室のために国家民人の利害を無視せねばならぬというような場合に立ち到る事は到底考えられない。従って「皇室のため」と「人民のため」と、相逆うことは絶対にないと信ずる。第二に仮りに一歩を譲って二者相逆う事がありとしても、民本主義は即ち主権者の主権行用上の方針を示すものなるの立場からして、君主は漫りに人民の利福を無視すべきものではないという原則を立つるに何ら差支えはない。ただ仮りに、皇室のおために人民の利福が無視された場合ありとして、この際人民はいかなる態度を取るべきかという問題になれば、これは例えば主人の破産の場合に下女などが、着て居るものまでも脱いで主家を助くべきや否やという類の問題と同一で、本来上下両者の道徳的関係に一任すべき事柄であって、制度として法律上これをいずれかに強制することは却って面白くないと思う。