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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
中にも最も著しいのは金権階級である。俗用の語でいわゆる資本家なるものである。しかしてこの階級に対しては従来社会主義の反抗があった。この両者の関係は恰も民本主義の歴史的特権階級に対する関係と似て居る。そもそも社会主義が資本家に対して抗争する所以の根本動機は、これまた社会的利福を一般民衆の間に普ねく分配せんとするの精神に基づく。この点において社会主義はまた民本主義と多少相通ずるところないでもない。ただ社会主義は現在の社会組織に革命的変動を与えんとするが故に、恰も民主主義が君主国において危険視されるが如く、多くの国において同じように危険視される傾きがあった。しかしながら、経済上に優者劣者の階級を生じ、ために経済的利益が一部階級の壟断に帰せんとするの趨向は、これまた民本主義の趣意に反するものなるが故に、近来の政治は、社会組織を根本的に改造すべきや否やの根本問題まで遡らずして、差当りこれらの経済的特権階級に対してもまた相当の方法を講ずるを必要として居る。いわゆる各種の社会的立法施設は即ちこれである。この意味において、民本主義が経済的特権階級とも争うということは、近代各国に通有の現象である。