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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
今我が国の状態を見るに、近時いわゆる資本家なるものが頭をもたげ来り、その広大なる金力を擁して漸く不当に社会公共の利益を蹂躪せんとして居る。もっとも這般の傾向は亜米利加ほど激しくはないが、しかし最近資本家の勢力というものは著しく加わって来た。殊に日清・日露の両戦役後は著しく彼らの勢力を増した。金権は、いずれの世においても一種の勢力たる事を失わないが、しかし日清戦争以前においては、実は金権は遙かに政権の下に屈しておった。更に遡って明治の初年に至れば、金権は即ち節を政権の門に屈し、その庇護の下に漸く財力の増殖を計っておった。例えば三菱の大隈伯におけるが如き、三井・藤田の井上侯におけるが如き、皆それである。しかるに日清戦争は初めて政権をして金権の前に助力を乞わざるを得ざらしめた。かくて金権は初めて政権と対等の地位に立つようになったのである。もしそれ日露戦争に至っては、桂公の政府は徹頭徹尾資本家の前に叩頭してその財政的助力を求めたのである。ここにおいて金権は一躍して時に臨んで政権を左右し得るの大勢力となった。富豪が爵位を貰ったのも、皆この時以後の出来事である。