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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页
石田氏は、係長と刑事をひき従えて、芝生のなかの道を家のほうへ歩きだした。五十雄君と百々子が、後からブラブラついて行った。
広廊に行くと、石田氏はそこに出ていた座布団をひきよせて自分だけ敷き、縁端に掛けて畏まっている係長と刑事を尻眼にかけて、悠然と煙草を喫いだした。
五十雄君と百々子が、三人のそばを通って部屋へ帰ろうとすると、係長がこんなことをいっているのが聞えた。
「いま当ってみたところでは、失火の直接の原因をつくったのは、どうやら豚だったような模様でして、そうだったら、あなたには、たいへんなご迷惑をおかけしたことになるので」
「豚とは、辛いところへ持ちこんだもんだね。無辜の動物に罪をきせることはない。放火犯人は、俺だって一向にかまわない」
面白くなりそうなので、部屋へ帰るのはやめ、五十雄君と二人で芝生に坐りこんで傍聴することにした。
「持ちこんだというわけではありません。確証がありますから」
「豚と話をしたのか」
「話などしません」
「そんなら、どうしてそんなことがわかるんだ?」
「取調中ですから、調査の内容を洩らすわけにはいきませんが、だいたい、そんなことだと思ってくださればいいんです」