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そうわ
挿話
徳田 秋声
「中央公論」1925(大正14)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页
「さあ、そうでしょうかね」姉は太息をついていた。
「ふみ江さんも人の言うことを肯かんからいけない。何でも皆んなに相談してやるようにしなさい。お父さんがいないんだから、そのつもりでもっとまじめになって、今までのように、びらしゃらして楽をしていないで、自分で自分の運命を切り拓いてゆくように、心を入れかえなくちゃいかん。ここの家なんか、こんな稼業をしているけれど、めいめい自分の生活については、相当苦しんでもいるんだからね」
「それあそうや」姉は頷いていた。
それから別れる場合の、話しのつけ方と、交渉にあたる人とを、道太は指名した。
「どうも僕じゃ少し工合がわるい。つい厭なことも言わなけあならないから」
「そうや。どうも法律を知っているといって、力んでいるそうやさかえ」
「まあしかし、円くゆくものなら、このまま納めた方がいい。そうなれば、金の方は後でどうにか心配するけれど、今はちょっとね」
「二度ばかり、松山の伯父さんとこへお尋ねしたそうですが、青木さんが叔父さんに逢ってお話したいそうですがいずれ私たちの悪口でしょうと思いますけれど」
道太はそれは逢ってもいいと思った。