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そうわ

挿話

徳田 秋声

「中央公論」1925(大正14)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页

青空文庫

幸いに彼の話を受け容れることができさえすれば、道太自身にももっとこの問題に深入りすることができるかもしれないと思った。

二人はいくらか気が安まったらしく、やがて引き取っていった。

「どうもお世話さま」道太は茶碗を片づけに来たお絹に言った。

「奥さんもえらい年をお取りになって。ふみ江さんも縹緻が少し下がった」

「姉だけなら来てもらいたいって、家でも言っているんだけれど、何か自分でなまじっかにやろうとするもんだから、かえって苦しむんだ」

「誰でもそうや。なかなか思うようにゆくもんじゃないんです。おひろさんだって、森さんのとこへ納まったにしたところで、姑さんもあるし、あの体で、あの大屋台の切りまわしはとてもできませんわ」

日が暮れると、判で押したように、辰之助がやってきた。道太は少し沮げていたが、お絹がこの間花に勝っただけおごると言うので、やがて四人づれで、このごろ披露の手拭をつけられた山の裾の新らしい貸席へ飯を食べに行った。それはお絹からみると、また二た時代も古い、芸者あがりの女が出したものであった。

道太はそんな物も、ちょっと見ておきたいような気がした。が、それにかかわらず、お絹も道太が時々気をぬきに来るように、もし手ごろな家を一軒かりてでもおくなら、留守番をしていてもいいような話もあったので、それも頭脳に描いて