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ぶんげいはしんかするか、そのた
文芸は進化するか、その他
平林 初之輔
「新潮 第二七年第六号」1930(昭和5)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,597 字 · 13 页
ことを認める。氏はいわゆる「新芸術派」の中で唯一の批評家らしい批評家であるといっていい。雅川滉氏や久野豊彦氏らが、いかにも芸術派らしくない、がさがさした芸術派であるのに比べて、小林氏は、いくぶん古めかしくて、彼らのうちのある人たちのいうように「マルクス主義を通過して」いない芸術派かもしれないが、とにかくすっきりして、純粋である。その意味で、氏が谷崎氏と久保田氏とを推賞しそうな理由は認められる。だが、私がここで問題とするのは谷崎氏と新芸術派との優劣論ではない。
問題は、文学の変化が進化か流行かという抽象的な一点である。
その前にちょっと指摘しておきたいことは、氏が「時代の流れに従って、文学に盛られた感性の角度と技術の方法と素材の取捨と表現の形態」との変化を流行であるとし、しかも、この流行を無視してはならないことを強調するとき、氏は、芸術至上主義のバリケードをすてて、はるか後方に退却したことを認めなければならぬということだ。
だが、阿部氏が指摘したような文学の変化は果たして流行にすぎんのだろうか? もし氏が、社会の歴史は進化ではなくてただ気紛れな変化の連続であるというのなら、文学の進化の否定はその当然の論理的帰結である。