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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

10 第十分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页

青空文庫

青鷺衆という組の名は、その服色からきたものらしい。つつ袖の上着も膝行袴も青黒い木綿の一色で、刀はつる巻の一本差し、みな敏捷な者ばかりである。そして事あるたびに、何処へでも飛んでゆく。さながら空へ立つ青鷺にも似ている。

これが九日のこと。中二日ほどおいて――十二日の夜明け方、三蔵はどこからともなく帰ってきた。すぐ搦め手門内に入り、前と同じ奥庭の疎林の蔭でまた勝入の前に平伏していた。勝入は、彼が桐油紙づつみから解いてさし出した血痕生々しい陣刀を受け取って、とつこうつ検めたうえ、

「たしかだ」

と、うなずき、

「よくいたした」

と、褒めた。そして黄金数枚を、賞として三蔵に与えた。

その陣刀は、犬山城の中川勘右衛門の持ち物にちがいなかった。まぎれなき定紋が鞘には蒔絵されている。

「ありがたく頂戴いたしまする」

三蔵が退がりかけると、勝入は、待てと押しとどめ、さらに近臣をよんで、馬の背にでも積まなければ持てないほどな金銀をそこに置かせた。蔵役人と近侍は、彼が唖然と見ている前で、それを数箇の菰包みに荷作りした。

「三蔵。もう一役働け」

「へい。働けと仰っしゃるのは」