轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
10 第十分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页
食後ながら秀吉は二つも喰べた。ただおかしいことには、美味い美味いといいながら、眼には涙に似たものがあった。
眼ばやい小姓は、怪しいことでございます――と、それを扈従の将たちにあとで話した。はて? ……と一同も解せぬ顔して、
「なんのおん涙やら」
と、疑い、
「あすは尾濃平原に馬を立て、徳川どのという大敵にまみゆるに、つねの殿ともおもわれぬ」
と、主人の愚痴を案じあったが、枕につくや、秀吉の高いびきに変りはなく、憂うるをやめよ、といわぬばかりに、快睡わずか二タ刻、天もまだほの暗い早暁にここを立ち、その日のうちに、第一梯団、第二梯団とも、続々、岐阜に着いていた。
勝入父子の迎えをうけ、城内城外、この大軍にあふれた。
夜空をこがす松明やかがりは、遠く長良の大河をよぎり、なお第三、第四の後続部隊が、この平原も狭しとまで、夜どおし東へ東へと流れつづくかに見えた。
「やあ、久しや」
これが秀吉と勝入との、会ったとたんの、どっちからともない声だった。
「御父子、このたびの同心は、筑前、真実うれしゅう思う。あまつさえ、犬山一城、引出物の御殊勲は、さすがというもおろか。