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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
10 第十分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页
善九郎をつれて、信雄が、家康をたずねて来た頃は、すでに家康は、夜を徹して、追い撃ちの作成と、編制と、進路の協議などに、諸将と、首をあつめていたところだった。
「信雄どのも、参られよ。この追撃戦こそ、主力戦となり申そう。主力のある所、おん身がおわさでは、このたびの合戦の意義はなくなる」
家康のことばに、
「もとよりのこと」
と、信雄もすすんで、追跡隊に、加わった。
追跡隊は本隊と支隊にわかれ、総兵一万五千九百。水野忠重の四千余が、先駆して、柏井村から小幡城へいそいだ。
その八日の夜。
すでに、家康、信雄の本隊は、もう小牧にいなかった。
南外山、勝川を通り、兵は、旗を伏せ、馬は、枚をふくみ、庄内川を、そっと渡った。
敵の潜行軍――森武蔵、堀秀政らの隊は、その夜、そこから約二里ほどの地点――上条村に宿営していたのだった。
あやういかな。潜行軍は、すでに潜行の意味を失っていた。奇計の功をいそぐの余り、徳川方に察知されて、あとを尾けられていたことを、夢にも覚らなかったのである。
夜半ごろ。――まだ八日のうちである。
家康は、龍源寺にはいり、湯漬を喰べた。そして一睡後、