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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

10 第十分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页

青空文庫

の一歌を詠じたというのでこの銘がある。

近来、とみに茶にも熱心な秀吉が、まずこの贈物に非常な喜悦を見せたであろうことはいうまでもない。しかし、より以上な満足は、家康から先に、こういう礼を執って来たことにあったことは、これまた、いうまでもないことだった。

数正は、即日、浜松へ帰国する予定であったが、秀吉は、

「そう急がずもよかろう。両三日は遊んで行け。三河殿(家康)へは、筑前よりよしなに申しておこう程に」

と、云い、また、

「わけて、明日はいささか、内祝いの儀もあれば」

と、たって引き留めた。

その内祝いというのは、去年以来の秀吉の内治戦功を嘉賞あらせられて、朝廷より彼にたいして、このたび従四位下、参議に補せらる、という叙旨を賜ったによるのであった。

秀吉は、この栄を、さらに、家臣にも頒つべく、七本槍の若者以下、有功の将三十六人、その他へも、広汎な論功行賞を同時にした。

また、新たに分国二十ヵ国に、新進の城主を取り立て、畿内五国を藩屏とし、この五月から大坂に大築城を企画して、年内にはそこへ移る予定――ということなども発表していた。

「それやこれの歓びじゃ。