轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

10 第十分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页

青空文庫

さて、秀吉は。

かれは、その本拠、楽田にあって、池田父子が発向したあと、つまり九日の朝――細川忠興をよんで、

「ひと当て、当てよ」

と、小牧の攻撃を、急に、命じた。

日根野弘就にもいいつけ、高山右近長房にも、同じ命をくだした。

そして井楼(組み櫓)のうえに登って、戦況をながめていた。

増田仁右衛門も、そばにひかえて、はるかを見ていたが、

「あれ。忠興どのの血気、あのように、深入りしても、大事ありますまいか」

細川兵が、余りにも、小牧の敵塁へ近づくのを案じて、秀吉の眼いろを見あげた。

「大事ない大事ない。忠興は若くとも、思慮ぶかい高山右近もひとつに出ておる。右近が行くほどなら、仔細はない」

今朝の攻勢は、ここで勝つための攻撃ではない。小牧の敵を牽制するための、秀吉の偽計であった。秀吉のこころは、遠く、

(勝入父子の首尾いかに)

と、実は、その吉左右のみを、心にかけていたのだった。

すると、午ごろ。

長久手からこれへ引っ返して来た数騎があった。どれもこれも、惨憺たるすがたをもち、口々につたえてくることはみな悲報だった。――三好秀次の本軍、総くずれとなり、秀次の生死も知れないとある。