轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
10 第十分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页
会見の場所は、秀吉の宿所、中院の金堂に準備されてあるが、日時は、いつがおよろしいか、御都合は――と訊かれて、信雄は、
「道にも疲れたから、明日一日は身を休めたいが」
と、ちょっと、わがままを出してみたくなって云った。
「では、明後日のことと、取り極めましょうか」
と、二人は、その旨を秀吉へ答えに帰った。
今時、誰ひとりとして、一日たりと、無為に送っていられる閑人などはないが、信雄の希望で、
(あす一日は休養したい)
というままに、翌日は、園城寺中の宿泊人悉くが、益なき退屈の中に置かれていた。
この園城寺全域では、何といっても、中院の金堂は建築の主閣である。そこへ、秀吉主従が泊りこみ、信雄の旅舎には、蓮華谷の法明院が宛てがわれていた。――これへ着いたとたんに、信雄が愉快でなかったことはいうまでもない。
会見日の取り極めに、小さい我意を通してみたくなったりしたのも、そんな気まぐれのわがままからであったらしいが、さて、翌一日は、当人の信雄自身からして、退屈に困じ果てたかの如くで、
「家老どもも、顔を見せぬ」
などと喞っていた。
寺宝の歌書を見せられたり、老僧の長たらしい話などに倦み果て、ようやく一日を過ごし得た黄昏れ近く、