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しんていきららざか
新訂雲母阪
直木 三十五
「文藝春秋」文藝春秋、1926(大正15)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,792 字 · 12 页
五
「真実の下手人を探す為め、彦根へ立戻候。」
という貼紙を、甚七の隠れ家でみた時、上の弟はじろりとお俊をみた。
「何れにしても逃れぬ罪だに、女々しい奴だ。」
こう云ってすぐ三人は帰途についた。
五
江尻の宿へ泊った夜
酔うて伏見の千両松
淀の川瀬の小車は
輪廻々々と夜をこめて
と、上方の流行唄を聞いたので、呼上げた。お俊は何っかで見たような女だと思って、聞いてみると、お新であった。お新は三人が来馬を探していると聞くと共に、金入を出した。そして
「敵は山田で御座ります。」
と、主張した。お俊は勿論それを信じた。二人も一寸考えさせられた。然しその次には、お俊はお新と甚七との仲に嫉妬を感じるし、二人の男は
「来馬にも訊し山田にも聞かぬ上は軽々しく信じられぬ。」
と云った。お新は自分の苦心が、この人々に判らないかと思うと、自分の商売や、世の中が恨めしくなった。そして
「お先へ彦根へ。」
と云って立上った。お俊は、自分より先に甚七に逢わしたくなかったので
「彦根は、入れば召捕えられる所へ誰が参りましょう。」
と、云うと共に
「お俊、お身は甚七に内通したな。」
と、きっとやられた。