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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
「サンデー毎日臨時増刊涼風特別号」1954(昭和29)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,297 字 · 56 页
菅田平野は口の中でつぶやいた、「おれは※(「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56)さない、この蔓は決して※(「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56)さない、あの男をそそのかして必ずものにしてみせるぞ、城代家老の婿とくれば本筋だからな、うん、そうやすやすと見※(「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56)せるもんじゃないさ」
四半刻以上も時間が経って、どうしたのかと思っているところへ、十郎太が戻って来た。暗いのでよくわからないが、荒い呼吸やおちつかない動作で、彼のひどく昂奮していることが菅田平野にわかった。
「貴方の予言が当りました」と十郎太は云った、「――どうかこっちへ来て下さい、相談にのってもらいたいことがあります」
菅田平野は黙って十郎太についていった。黙ってついてゆきながら、彼は心の中でほくそ笑み「しめたな」とつぶやいていた。
「貴方の心配されたことは杞憂ではなかった」と十郎太は歩きながら云った、「――奸物どもは急に逆手を打って、昨夜この屋敷へ踏ん込み、伯父をどこかへ拉致したそうです」
「城代家老その人をですか」
「いまこの屋敷はかれらの手で押えられ、伯母と千鳥も一室に監禁されて、一味の者に見張られているというのです」