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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页

青空文庫

山の背くらべ

二十年前に比べると、一寸は大きくなったという人もあれば、毎年米一粒ずつは大きくなっているのだという人もありましたが、それはただそう思って見たというだけで、二度も石の寸法を測って見ようという者は、実際はなかったのであります。或は出雲の飯石神社の神石のように、もとはお社の中に祀ってあったといい、または筑後の大石神社の如く、以前のお宮は今のよりも、ずっと小さかったという話は方々にありますが、それは遠い昔のことであって、石の大きくなって行くところを、見ているということは誰にも出来ません。筍のように早く成長するものでも、やはり人の知らぬうちに大きくなります。ましてや石は君が代の国歌にもある通り、さざれ石の巌となる迄には、非常に永い年数のかかるものと考えられていたのであります。つまりは一つの土地に住む多くの人が、古くから共同して、石は成長するものだと思っていた為に、こういう話を聴いて信用した人が多かったというだけであります。

山の背くらべ

石が出しぬけに大きくなろうとして、失敗したという話も残っております。例えば常陸の石那阪の峠の石は、毎日々々伸びて天まで届こうとしていたのを、静の明神がお憎みになって、鉄の沓をはいてお蹴飛ばしなされた。