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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页
喜んで酒を飲んで、その盃を頭の上にかぶり、後にどこへか帰って行きました。翌日になって、農夫がこのことをきき、もしやと思って厨子の戸を開けて見ると、果して地蔵様が盃をかぶって、足は泥だらけになって立っておられたといいます。近江の西山村の佐吉という百姓は、病気で田の草もとることが出来ずにいると、日頃信心の木本の地蔵が、いつの間にか来て、すっかり草をとって下さった。朝のうち参詣の路で見た時には、あれほど生い茂ってどうしようかと思った田の草が、帰りに見るともう一つも残らずとってある。どうしたことかと思って近くにいた者に尋ねると、今のさき七十ばかりの老僧が、田の畔を一まわりあるいていられるのを見た他には、誰も来た人はないというので、それでは地蔵の御方便で助けて下さったものであろうと、引き返してお堂へ行って見ると、そこらあたりが一面に泥足の跡で、それがお厨子の中までも続いていたと書いてあります。
或はまた、田植えの頃に水喧嘩があって、一人の農夫が怪我をして寝ていると、夜の間に小僧さんが来て、その男の田に水を入れている。それをにくむ者が後から箭を射かけると、逃げてどこかへいってしまった。