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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本の怪談(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟹の怪、花の咲く比、不動像の行方、蛇怨、鮭の祟、妖怪記、鍛冶の母、鷲、尼になった老婆、幻術、忘恩、蠅供養、這って来る紐、放生津物語、地獄の使、法衣、餅を喫う、立山の亡者宿、山の怪、山姑の怪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,664 字 · 171 页
為作はそれよりも神の奇瑞に心を奪われていた。為作はそのまま頭を地べたにつけたのであった。
「お諏訪様、もったいのうございます、誠に何とも申しようがございません、お諏訪様、どうかお引とりを願います」
林田は伴れて来ている二人の男を見て嘲笑った。
「何処にお諏訪様がおるのじゃ、孔夫子は、怪力乱神を語らずと云われた、今の世の中に、神なんかが出て来てたまるものか、今の世にばてれん以上に、怪しいものはない、この比、ばてれんが無うなって、蜃気楼もあまり立たないと思うておりゃ、またばてれんをやりだした」
「もったいない、もったいない、お諏訪様を拝んでおります、お前さんがたの曲がった眼には見えますまいが、孫の眼には見えます、そんなことを云うと罰があたります、お諏訪様もったいのうございます」
林田に随いて来ている一方の男が云った。
「へっ、そんな鳥の巣のような箱の中に、神様がおってたまるものかい」
泰然と坐って傍視もせずに前の方を見ていた源吉が云った。
「お諏訪様は、其処にいるのだよ、蟹を伴れて来ているのだよ」
「何処におる、この寝ぼけ小僧」
林田が叱りつけるように云って前へ一足出た。