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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本の怪談(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟹の怪、花の咲く比、不動像の行方、蛇怨、鮭の祟、妖怪記、鍛冶の母、鷲、尼になった老婆、幻術、忘恩、蠅供養、這って来る紐、放生津物語、地獄の使、法衣、餅を喫う、立山の亡者宿、山の怪、山姑の怪。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,664 字 · 171 页

青空文庫

と、孫女は手籠を縁側に落すように置いて、

「今日は芋を掘りましたから、すこし持って来ました」

老婆は籠の中を覗いた。きれいに洗った里芋の新芋が八分目ばかり盛ってあった。

「これはありがたい、晩には煮て、お爺さんにもあげよう、籠を借りて置いてもかまわないかな」

「かまいませんよ、この次に貰って往きますから」

と、孫女は縁側に腰をかけて、

「お婆さんは、出掛だけれど、ちょっと話がありますが」

「どんな話だよ、かまわない、話があるなら話してみな」

老婆は孫女の身に、何か心配ごとでも起ったのではあるまいか、と、思って縁側に蹲んで、孫女の顔を覗き込むようにした。

「私のことじゃない、お婆さんのことじゃが、お婆さんが我家に来ないもんじゃから、我家の作造が心配して、お婆さんは何か私に気に入らないことがあって、それで来ないかも判らん、よくお婆さんの腹を聞いてくれ、私のいたらん処はなおすと云うて心配しておりますよ、お婆さんは何故我家へ来ません」

「なに往くとも、どうせお前等二人に世話になろうと思うておるが、四十九日の間は、魂魄が家の棟を離れないと云うことじゃからな、四十九日でもすんで、そのうえでと思うておるところじゃ、作造さんになんの気に入らんことがあるものか」