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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本の怪談(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟹の怪、花の咲く比、不動像の行方、蛇怨、鮭の祟、妖怪記、鍛冶の母、鷲、尼になった老婆、幻術、忘恩、蠅供養、這って来る紐、放生津物語、地獄の使、法衣、餅を喫う、立山の亡者宿、山の怪、山姑の怪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,664 字 · 171 页
その時都の者だという売卜者が来た。売卜者は病気にさえ罹っていた。少しでも善根を積んで、罪障を消滅したいと思っている長者は、これを見ると己の家へ泊めて病気の手当までしてやった。
売卜者はな男であった。長者の女はこの噂を侍女の口から聞いて心をそそられた。そして、その侍女の計いで、一室で書見している売卜者の美しい姿を透して見ることができた。
長者はその後、食事もしないで己の室で物思いに耽っている女の姿を見るようになった。長者は心配して乳母や侍女に就いてその原因を知ろうとした。そして、侍女の話を聞いて耳を傾けた。
その翌日、長者は売卜者を己の室へ呼んだ。
「折入って貴郎にお願いしたいことがありますが、聞いてくださいましょうか」と云って、云いにくそうにして「女が貴郎のことを思うて、病気になりかけております、醜い娘でお気の毒ですが、その代りこの家の財産は、今日から一切貴郎にあげます、どうか女の婿になってください」
売卜者は醜い女の姿を何時の間にか見ていた。彼は厭で厭でたまらなかったが、恩人の詞をすげなく謝絶るわけにも往かなかった。彼はしかたなく承知してしまった。