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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

ましてそうした倫理関係が一等「倫理的」(もはや日本語としてではなくて国際的な訳語としての)なものでなければならぬ、という証拠になどはならぬ。文義的解釈が物を云う範囲は、倫理なら倫理という関係――和辻氏は之を人と人との行為的連関のことと見る――を解明する一つの引例として、直観的な象徴として、倫理という言葉の分析を行う場合に限る。これは倫理なる関係そのものの証明でもなければ一定の手続きを踏んだ説明でもない。なぜならそこには理論上のギャップがおかれてあるからだ。そしてこの理論上のギャップを、直観的な尤もらしさを以て埋めるものが、所謂「解釈」なるものの理論上の意義だったのである。

でつまり、解釈というものの権利を科学的理論の全面に就いて承認する限り、即ち解釈学的方法を倫理学に於ても認める限り、倫理や人間や存在というものの文義的解釈から倫理学が始まるということに、苦情をつけることは、一寸出来ないだろう。――この倫理学は元来、何物をも証明又は説明しようとするものではない、単に吾々日本国民の生活を解釈する、多分ジャスティファイする、ためのものなのだ。之に同感なものは益々同感するだろうが、之に反対なものは益々反対せざるを得なくなるまでで、倫理学的な即ち科学的な、道徳・風習・社会機構・其他一切の人間社会にぞくするものの批判