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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
・「危急存亡の秋」・等)、「在」の方は人間主体が空間的に一定場所を占めることを意味している(「在宅」・「在郷軍人」・「不在地主」・等)。即ち「存」とは人間存在が自覚的であることを、「在」とは人間存在が社会的であることを意味するわけで、「存在」ということはそれ自身取りも直さず「人間」の存在そのものでしかない。人間以外のものの存在は、この存在からの譬喩か派生物ででもあろう。
でこうして倫理の文義的解釈をしたのであるが、こうした「『人間』の学」が即ち「倫理学」だというのである。尤も人間の学と云っても、所謂アントロポロギーのことではない。なぜと云うに、西洋の所謂アントロポロギーは、人間を単に個人として抽象して考えるから、例えばM・ハイデッガーの場合のように、仮に人の自覚的存在を論じるにしても、人の社会的人間的連関を見落して了うから、到底「人間」の学ではあり得ない。まして個人の身心関係を論じるような自然科学的「人類学」や形而上学的な「哲学的人間学」(実は「哲学的人類学」なのだが)は、「人間」の学ではあり得ない。人間は個人であると共に個人的存在を超越した共同体的人間存在なのだ。