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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

、の方が勝れていた)。彼の神学乃至哲学は、無限なものへの思慕によって裏づけられている。この無限なものへの思慕が、独り中世と云わず又ギリシア古典と云わず、凡そ過ぎ去った世界への回顧的な思慕にまで行く処が、ドイツ・ロマンティックの落ちつく処なのである。世界の審美的観想と人間的情緒による解釈とが、そこに於ける唯一の「科学的」なものとなる。或る時期のシェリングはその哲学によって、現実を消去して自由なファンタジーの世界を導き入れたが、この自由なファンタジーの代りに過去の歴史を導き入れるものが、シュライエルマッハーの解釈学の動機だと云ってもいいだろう。――文献学乃至解釈学が哲学と結びつき又は哲学的となる時、その哲学はこのロマン派的・審美的・回顧的・観念的な一種の解釈哲学であったことを注意しておかなくてはならない。

シュライエルマッハーの文献学(乃至解釈学)は併し、どれ程それが哲学的であり又哲学化されていると云っても、依然として文献学(乃至解釈学)プロパーの線の上に止まっていることを忘れてはならぬ。なる程彼によって文献学乃至解釈学はごく一般的な方法にまで、又可なり深遠とも見える世界観にまでさえ拡大された。