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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

もっと個人的な、或いは個人主義的な、その意味で内部的な立場から、インテリゲンチャは、例えば「知識人」と考えられる。知識人独特の立場の積極性が、能動性が、ここでは専らテーマとして取り上げられるのである。

だがここにも根本的な疑問は数々あるのである。第一にインテリ(知識人)独特の立場から来る積極性・能動性と云っても、何もそれはインテリだけの世界での積極性・能動性であるのではあるまい。もしそうならば、それはインテリの独りよがりかインテリ劇場の楽屋の出来ごとであって、一向客観的な意義を持たないばかりではなく、知識人の主観自身にとってすら極めて意味の乏しいものにならなくてはならぬ。だからインテリの能動性・積極性と云うのは、終局に於ては、知識人の主体を通って、社会の客観的関係にまで一定の影響を及ぼすもののことでなくてはならぬ(それが具体的にどんな影響を与えることかという点をこのインテリ論者達はまだ考える順序に来ていないらしいが)。インテリの能動性・積極性はだから、インテリの対社会的なそれでなければならないのだ。処でこの対社会的な能動性乃至積極性がインテリ独特のものだとする処から、現に一種の語弊が生じつつあるのが見受けられる。