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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

転落したにせよ、或いは又却って燃え上ったにせよ、とに角この程度のものが、少くとも最近の(所謂マルクス主義全盛期?以後の)自由主義の実勢力だったのである。実は今更転落でもなければ高揚でもないのである。

だがとに角、元来唯物論の論敵であった処の日本主義哲学に対して、初めて之と敵対関係にあるということの意味を現実的な形で覚らねばならなくなったのが、この自由主義だということを、ハッキリと銘記しなければならない。そういうことは誰知らぬ者もない判り切ったことのようだが、併しこの観点は、少くとも自由主義者によっては行くべき処まで押しつめられてはいないのである。と言うのは、自由主義は少くとも日本ファシズムに対抗するためには、唯物論と共同の理論的利害に沿う他に、足場はないのである。現下の事情は、唯物論か日本主義か、のエントヴェーダー・オーダーなのだ。自由主義が自由主義として独自の論拠を持つためにも、自由主義の足場は唯物論の内に求められなくてはならぬ。

処が言うまでもなく自由主義者は、そういう勧告には、習慣的に、又情緒的に、同意することを欲しない。自由主義には自由主義独特の、独立な哲学がある、と自由主義者達は想定し又は主張する。