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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

だからこの人間学は云わば解釈学的人間学に他ならない(人間学の系統的な批判を私は機会を得て試みたいと思っている)。――だから少くとも、例えば之をL・フォイエルバハの宗教批判のための人間論などと同列に置くことは出来ない。ここで解釈的と呼ばれる所以は、すでに云ったように歴史認識から足を洗ったという処にあるのだったから、結局残るものとしては、形而上的な従って又精々神学的な建築材料しか持ち合わさないからだ。之に直接比較されてよいものはさし当りS・キールケゴールの著作などだろう。――なぜこんなことを云うかと云えば、日本では曾てはフォイエルバハに結びつけられて、人間学なるもの一般が、何かマルクス主義哲学と関係あるもののようにして輸入されたからである。云うまでもなく輸入されたこの人間学は例の解釈学的人間学のことで、唯物論とは凡そ原則的な対立物だったのだが、にも拘らずこうした人間学が、その素性の曖昧な一般性を利用して、なおわが国の進歩的(?)な自由主義者達に可なりの魅惑を与えているらしい。之は現下の文芸其他に於ける各種のヒューマニズムの素地とさえなるだろう。人間学は今日、あまり素質の高くないインテリの間では一つの合言葉とさえなっている。