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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

解釈哲学の以上二つの典型は、その終局的な客観的効果は別として、その直接の関心から云うと、主に文化的インテリゲンチャのインテリジェンスに訴えようとする処に成り立っている。而もこの思想典型の内容が小市民層の関心に基くものであるために、社会的現実からの逃避か又は夫への不到達として現われざるを得ない。ただ西田哲学型の解釈哲学は比較的理論的なインテリジェンスの所有者に、之に反して文学主義型の解釈哲学は比較的情緒的なインテリジェンスの所有者に、愛好されるという区別はあるが。

処でもう一つの解釈哲学は之を文献学主義と呼びたいと思う。一般に言語学的又は古典学的な知識を以て、断片的に或いは組織的に、現在の実際問題に対する解決の論拠を構成しようとするやり方が之であって、日本のアカデミー哲学の殆んど大部分のものは、ドイツ語文献学か、ギリシア語文献学かを哲学的思想の検討と混同したものに他ならない。無論こういう「哲学」は何等の思想の名にも値いしないだろう。併し文献学主義が覗う処は実はもっと実際的な必要に揺り動かされている場面なのである。日本帝国の歴史的現実(?)と或る種の都合の良い思想とを結びつけるのに必要なのが、実はこの文献学主義なのだ。